椋 ーmukuー

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急に雲が立ち込めて強い雨が降った。自分の心を代弁してくれるかのようにそれはもう激しく振り続けた。

明日の学校やテストを思うと逃げたくなって消えたくなってひたすら涙が流れた。別に悲しい訳でもないけど悔しい訳でもないけど涙が出た。泣きたい訳じゃないのに出てくる液体がうざったらしくてでもずっと泣いていた。終わらないでほしい…始まらないでほしい。ずっと止まったままでいてほしい。

声なんかこれっぽっちも届きやしなくて自分の存在がなくても変わらないんだなとか世の中にありふれた事を思った。じきに雨が止んで、辺りがオレンジ色に染まった。また泣き出しそうで、でも堪えるような空が本当に腹立たしかった。

自分の事をわかってくれるのは結局自分しかいない。孤独だ。ひとりだ。すごく寂しい。もう一歩だけ踏み出して外へ出たって何も変わらない。青春なんてクソ喰らえ。この時期がいちばん苦しいなんて誰も分からないから。

題材「もう一歩だけ、」

8/26/2025, 9:28:39 AM