身体の芯から火照る感じがして目が覚めた。
グラグラと不安定な視界とほんの少しの息苦しさが気持ち悪い。熱でもあるのかと計ってみたが平熱だった。
起き上がるのも億劫だ。枕元に置いたボトルに手を伸ばして、でも飲む気力もなくてチャプチャプと音をたてて揺らす。ボトルの中で激しく揺れる水面はまるで荒れ狂う海のようだ。ここに船を浮かべたら一瞬で波にのまれて沈むだろう、なんて。
ぼんやりと眺めていたら、つい先日やっていた映画を思い出した。あれは流氷にぶつかったのが原因だったか。
冷たい海に放り出されて凍えたり、水の力に飲み込まれ溺れたり、さまざまな最期をみた。
ラストに投げ入れたハート・オブ・ジ・オーシャンは誰に届いたのだろうか。
「…私には縁のない話か」
身を挺して助けてくれるような愛ってどんなものだろう
【題:まだ知らない世界】
5/18/2025, 8:20:47 AM