僕は生まれる前に歌を聴いた
暗闇の中から微かに聴こえる
優しい優しい歌を聴いた
僕が生まれた頃
誰かが微笑んでいて
誰かが泣き続けていた
それが父なのか母なのか
或いは祖父か祖母か
また或いは病院の職員だったのか
分からないが
そんなだった気がした
「ココロ」とか言うものは
もうこの頃から僕の体内に存在していた
具体的な場所なんか知らないけど
小さな頃からもうあったことはわかる
生まれて十数年経ち
僕は未だにあの歌を口ずさむ
生まれる前を忘れぬために
生まれた「ココロ」を忘れぬために
なぜ覚えているのか
分からないが
まあそんなものだろう
これは一つの
いのちの話
2/11/2025, 11:35:04 AM