ちひろ

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 人々の望む何もかもが満ち溢れ、人々の拒む何もかもが斥けられた場所。ここにあるのは快楽のみである。そして誰一人としてそのことを非難する者はいない。誰もが自分の愉悦に溺れることに無我夢中で、互いの姿が見えていないのである。
 我々がかつて渇望したものの中で、唯一、現在この地に存在しないものがある。愛。我々がまだ苦痛や悲嘆に蝕まれていた頃、命を賭してでも求めていた、愛。惨憺の暗闇にあってただ一つの光であった、愛。今となっては満ち溢れた光の中に飽和し、やがて斥けられた、愛。……。

5/1/2024, 1:09:28 AM