「愛と平和」 #12
「ちょっ?!先輩?!」
『お~後輩君じゃな~い。』
「後輩君じゃな~い。じゃないですよ!!ここ僕の部屋なんですけど?!なんでいるんですかぁ!」
『ごめん!ごめん!(笑)』
「ごめんじゃないですよ!早く出てって下さい!しかもそんなふしだらな格好で!!」
いつも通りの日常。この他愛もない平和な会話が大好きだった。
「も~…こっちの身にもなって下さいよ…全く。」
『ごめん(笑)ごめん(笑)次からはちゃんとした格好で来るからさ(笑)!』
「ちゃんとした格好でも普通男がいる部屋に女の子が入りますかねぇ?!」
『え~?いいじゃ~ん?後輩君は安全でしょ?』
「ま、まぁ…じゃ、なくて!!今日はもう自分の部屋に戻ってください!!」
先輩をグイッと押して部屋から追い出す。
『え~?!なんで~?!』
「では!おやすみなさい!!!」
勢いよくドアを閉める。
「はぁぁぁぁ~………」
ただでさえしゃべるのでもやっとなのに…
「自分の部屋に入られるのは…無理…」
俺がもたない…
むりだろ…逆に好きな人の前で平然と出来てる方がすげぇよ……
でも、なんだかんだ言って、あの、先輩とのささいのない平和な言い合いが大好きで、
そんな時間が待ち遠しくなるほどには楽しみだった。
明日は、…告白出来っかな
僕の思いをいつ、先輩にぶつけられるんだろう。
あ、そう言えば、3月5日って先輩の誕生日だったよな…
その時に、ご飯に誘って、花束をあげよう。
あの日とにはピンクの花が絶対に似合うから、綺麗なピンクの薔薇を。
薔薇はあげる本数で意味が変わるって聞いたことがある。
確か、十二本の薔薇の意味は「付き合ってください。」だったよな…?
「結構…よくね…?」
明日にでも先輩に言っておこう。
3/1日
先輩が死んだ。飲酒運転したトラックに跳ねられて。
なんで?隣には僕がいたのに。
ちゃんとみておけば、先輩は死ななかった?
あぁ、僕のせいだ。
ぼく、が…先輩を…殺した。
あぁ…でも、そうだよな。こんなこと思ってても。、
「先輩が戻ってくる訳じゃない。」
だったら、せめてもの償いとして、先輩よりたくさん生きて、
いつか、そっちにいけたときに
土産話をたくさん話してあげますね。
「僕はお爺ちゃんになっても先輩のことが大好きです。」
だから、見ててくださいね。
「僕の命の炎が燃え尽きるまで先輩のこと、忘れませんから。」
僕の先輩に対しての大きい、大きい愛。伝わりましたか?
伝わってたら嬉しいなぁ。
(_______。)
「?!……先、輩…?」
微かに先輩の声が聞こえた気がした。
この日になると思い出す。
あの、誰よりも平和で愛おしい会話を。
先輩と僕の笑いあってる姿まで。
思い出すんだ。
3/10/2023, 3:04:12 PM