佐藤翼

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グローブジャングルが好きだった。
球形の回転するジャングルジムだ。
私が格子をよじ登り、君がぐるぐるとを回してくれる。
君は友達より力が強かったので、一人で勢いよく回すことができた。
外側へ引っ張られる力と、頬や腕をすり抜けていく風が気持ちよかった。
ただ、君も楽しくなったのか、回す力が段々強くなった。
手が離れそうなほど体が引っ張られ、風がひっかくように痛い。
私の冒険心は恐怖心に変わった。
怖くて、降りたくて、しかし離すこともできない。
私がほとんど半泣きになってから、ようやく君はハッとした。
君は私を下ろし、あやそうとして、それでも私は泣き止まない。
君は私をグローブジャングルの中に入れた。
ごめんよ、と言って、格子を掴み、普段の歩幅の半分で歩き出す。
ゆっくりとした揺れ心地に、幼いながら懐かしさを感じた。
その後私は、二度と君とは公園に行きたくない、と言ったらしい。
申し訳ないが、そこはあまり覚えていない。
公園に行かなくなってから、君と会うことも、グローブジャングルに乗ることも少なくなった。
グローブジャングルが好きだった。
他の人より少しだけ大人な君も、好きだった。

題:ジャングルジム

9/23/2024, 12:19:52 PM