ゴルゴンゾーラ竹田

Open App

虹の架け橋

ある三男

 虹がかかっている。あんなにはっきりと橋になっているのを見られるのは久しぶりだ。
 そういえば昔はあの根元がどこにあるのか気になって仕方がなかった。絵本は天国があるというし、人に問えばどこか知らない場所に繋がっているのだと言った。答えを確かめようにも、自分は家の外に出る事なんてできなかったので、人の居ないうちは家の塀によじ登って虹の根元を拝んでやろうと、幾度か悪戦苦闘していた。無意味な努力であった。自分は家の外を拝む事なんてできやしなかったし、そもそも虹の根元なんてものは存在しないと知ったからだ。そういえば虹の色は何色あるんだろうかとも考えた時があった。
「ねえ、虹って何色あるの」
「急に何」
「虹、架かってたから気になって」
「…虹って光だから、実際何色あるかって言って数えられはしないだろ」
「そっか」
「日本じゃ七色とは言われてるけど」
「僕、数字を知らないときに色の数、数えようと思って、数がわからなかったから指で数えたんだけど、結局指も足らなくて分からずじまいだったな」
「そうか」
 今こうして眺められる空が愛おしい。虹の根っこは見られなかった。光の色も結局は分からずじまいだ。でも今この瞬間、何事にも囚われずに見られる空のなんと青いことだろうか。
「空」
「うん」
「綺麗だね」
「そうか」

9/22/2025, 9:28:05 AM