冬の曇天にふわりと舞うのは沫雪。
影凍る冷気に吐き出す息は白く、
露出したわずかな肌が冷たかった。
だけど不思議と心は暖かくて、
それはきっと隣に君がいるから。
仄青いイルミネーションと、
街を淡く照らす光のコントラスト。
「ね、綺麗でしょ」と振り返る君の、
きらきら輝く目の方が綺麗だと言いかけて、
あまりの恥ずかしい台詞を飲み込んだ。
苦手な人混みに、寒さを耐えて、
その見返りが君の笑顔ならば悪くない。
でもやっぱり寒いのは寒いから、
早く家に帰って君を抱きしめたい。
…そう言ったら顔を真っ赤にして怒られた。
【イルミネーション】
12/14/2023, 5:39:42 PM