安宿に今夜も雑魚寝だ。
ギールスとシーナは例によって野宿のほうが慣れているし、気心のしれた幼馴染同士だ。男も女も関係ない。
お金がない…というのも大きな理由だが…。
宿の隣に併設された居酒屋で皆で皿洗いをすることで、残り物のスープと焼きたてのソーセージとパンを頂くこともできた。
腹が満たされれば人心地も付くというもの。
そもそもこんな低レベルパーティーでは、まともな素材集めも依頼も受けれない…。冒険者稼業が衰退し、国の軍に傭兵が傘下に下るのも仕方ない…(しかも前線の前線ど真ん中に配置される)そういう時代なのかもしれない。
安宿の2階の窓からは、下町と商業街の境目がよく見えた。まだまだ夜は長い。遠くには城壁に囲まれた城も見える。
「王子様とかは、こんな生活しないんだろうなー。いいなー」
ミレーヌが、唐突に街の奥の王宮の光に向かって呟いた。
それを聞いて吹き出すのが幼馴染で同い年のヴィルだ。軽装で、索敵、罠、斥候などをこなす。が、まぁ全然役には立ってない。
「なによぉ。いいでしょ」
「いや、別に…あほか…」
「宮廷見習い騎手に呼ばれたってウキウキだったのヴィルじゃないの!」
「あいあい」
悪かったと言いながら、結局ニヤニヤ笑う。
「王子様どんな人なんだろぉ。まだお若いって話よね。ひと目でも見れないかなぁ…」
(そこに一応王子ならいるけどな)
ヴィルはチラりと、うしろに目線をやった。
酒場のおっさんどもに弱いアルコールを飲まされてコテンと寝てしまった2つ下の幼馴染カルスが、ベッドにもソファにも寝かされずに猫のように丸くなって安っぽい絨毯で寝ている。
夢見る心
4/17/2026, 7:56:27 AM