東雲色の空を見ながら、君と二人、手をつないで歩く。
君の少し音程のおかしい、けれども飴細工のように甘くキレイなハミングが融けた朝の空気を吸う。
一拍、君の手を引いて僕は駆け出した。
転ばないように、手が離れてしまわないように慎重に走った。
甘い甘いハミングが二人分の笑い声にかわる。
小さな橋を渡り、ゆるい坂を登り、階段を二段飛ばしで駆け上がった。
やがて、走り疲れて立ち止まる。
ちょっとしたでっぱりのような山の上、金色の旭に照らされた世界が目の前に広がっていた。
汗ばんだ手を握り直し、君に寄り添う。
君のハミングを聞きながら、金色にとけていく。
これほどの幸福を僕は知らない。
テーマ「二人ぼっち」
3/21/2023, 6:07:36 PM