浜崎秀

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「ねえ、24日って予定ある?」

「……ない」

 デリカシーのない彼女の質問に素っ気なく答える。何を言われるのかは薄々察しがついてる。ここで浮かれるわけにはいかない。案の定、彼女の顔はパッと明るくなった。

「よかったぁ! じゃあさ、遊園地行かない?」

「いいよ……え?」

 想定外の誘いに脳が処理落ちした。今のこの会話は果たして現実か? 

「え、嫌だった……?」

 彼女は上目遣いで不安そうにこちらを見ている。憎たらしいほどかわいいその仕草は狙ってやっているのか、それとも素なのか、わからない。

「いや、『シフト変わって』のお願いだと思ってたから……驚いて……」

 ドギマギする胸を無視して、何とか平静を装って話す。彼女は頬を膨らませ、いかにもご立腹という感じで言った。

「私のこと何だと思ってるの?」

 かわいい。

 不覚にもそう思わされてしまった。

「ごめん、アイス奢るから、許して」

「やったー! じゃ7時に駅集合ね」

 彼女の不機嫌は一瞬で吹き飛んだ。こちらの意見も聞かず、鼻歌を歌いながらどこかに行ってしまった。

 まあ、いつものことか。

 冬休みも、また彼女に振り回されることになりそうだ。

『冬休み』

12/29/2022, 2:39:32 AM