お前のために眠りました

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「ひな祭りだから、これあげるね」とあの人が気まぐれでおれにくれたこんぺいとう
こんぺいとうなんか好きでもなかったがあの人がくれたものはなぜだがきらきらと輝いて見えた
ひとつぶだけ口に含む 甘い
こんぺいとうを噛み砕しながら横目でちらとあの人を見れば、もうおれのことなんか見てもいない おれの顔すら覚えていないのだろう そういう人だ
それでもおれはこの残りのこんぺいとうを食べられもせず捨てられもせずに机の奥にしまい込む
こんぺいとうは小さなおれのたからものとなった くだらない

お題「ひな祭り」 おまねむ

3/3/2024, 2:34:08 PM