皆へ
成人式、行かなくてごめんね。行けなかった。
突然、連絡を切ってしまったことも、謝るよ。
あの時、私は幸せだった。皆と一緒にいたいなって。卒業するのが凄く嫌だった。
あの時代も、辛いことは沢山あった。
でも、最終的にはそれに折り合いをつけられた。
なにより、沢山の仲間、素晴らしい先生、
そして初めての恋人。
今でも、正直恋しい。また、あの時に戻りたい。
それならどうして、って思うかもね。
でも私が会いたいのは、あの時の皆であって、
私が大事にしているのはあの時の思い出であって、
私が好きなのはあの時皆と一緒に笑えてた自分で、
要するに、今の皆には会いたいと思わないし、
今の自分を皆に見られたいとも思わないんだ。
もう、あれから5年以上経ってるんだ。
あの時から、私にどんな変化があったか、
あんまり知らないと思うし、
私も、皆がどうなったか知らない。
でも、それを知りたいと思えない。
きっと、もう一緒に笑い合えはしないと思う。
ごめんね、本当に。
あの時の思い出を磨いたやつを箱にしまっておく。
それだけでもう十分なんだ。
今思うと、あの時の私も相当醜悪で傲慢だった。
醜悪であることを知らなかったから、なおのこと。
今では身のほどを弁えてるけど、難しいね。
これが大人になることなんだろうけど、まだ出来ないです。きっと皆は大人になったんだろうね。
何が言いたかったんだっけな。もう分からないや。
あの頃は私、すごく読書が出来て文章が上手いと思われてたけど、実は単にそう見せかけるための嘘が上手くいってしまってただけなんだ。
現に今も、言いたいことがまとまってないよね。
こういうこと、皆にたくさん隠してたんだ。
とにかく、私のことはこれで忘れて、
探りたいかもしれないし、あるいは他人なんかどうでもいいかもしれないけれど、忘れて欲しいんだ。
今君たちが何をやってるかなんて、私も知りたくないからさ。
でもどうか、幸せでいてください。
ああ、もうキリがないから、さっさと別れよう。
あの時、私はまたねって言いました。
だからまたこうして
皆にむけて手紙を書かなきゃならなかった。
今度こそもう二度と会えないようにしなくては。
ここで、思い出と青春の最後の縁を切っておこう。
愛しかった友たちよ、
それじゃ、永遠にさよなら!
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2/26/2023, 2:27:19 PM