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#日の出

人は何故、ある夜明けに空を見上げるのか

書きかけの年賀状と、枚数のないカレンダーを眺めながら
私はそんな事を考えていた

だってそうではないか

何時もと変わらぬはずなのに、
鬱陶しいと思う人も、少なからず居るはずなのに

どうしてその時だけ、特別扱いされるのか

睡眠好きの私としては
不思議で不思議で仕方がなかった

...そんな、ある時

私は友人に誘われた
「年明けの醍醐味でしょ」と言うメッセージと共に

正直、眠く寒い早朝に外へ出るのは気が重かった

しかし、と言うより、半ば強引に
私の熟睡計画は破綻した

...と言う経緯の元、年明け早々電車に揺られ数十分

「穴場なんだ」と言われ連れてこられたのは
漣の鳴く、夜明け前の海

穴場と言うだけあり、人目のつかぬ岩陰に囲まれ
更に潮風が冷たく、もう既に回れ右したい気持ち

...それを想定済みとでも言いたげにお汁粉を出された時
少しだけ絆されかけたのは内緒である

そんなこんなで、友人の持参食や会話をしていると
不意に友人が声を上げた

釣られる様に視線を上げ私は__











ただ、感動した

とても眩しいし、寒さは変わらなかったはずなのに
それがちっぽけに思えてしまう程

兎に角、心の底に響く”ナニか“を感じた

数分置いて、思い出した様に友人を見ると
「綺麗だったろ?」と自分事の様に、誇らしげに言った

その顔には若干思う所があったものの...そうだな


「嗚呼、綺麗だったな」


態々日の出の為に出向く人々の気持ちが
私は少しだけ、分かったような気がした


「それはそうと寒いから早く帰りたいんだが」
「それも同感」

1/3/2026, 11:48:49 AM