「曇り」
夏休みにおばあちゃんの家へ泊まりで遊びに行っていた。
いつもなら目覚めない明け方に目が覚めてしまった。1階に降りると人の気配がして居間を覗くと、おばあちゃんが縁側から空を眺めていた。
「おばあちゃん、おはよう…。」
まだ少し眠い目を擦りながらおばあちゃんの横に座る。
「あら、早起きして偉いねぇ。おはよう。」
「何見てたの?何かあったの??」
「ん?あぁ、朝雲りだよ。今日はまた暑くなりそうだね。」
「あさぐもり?」
「空を見てご覧。靄が出て空が曇って幻想的で綺麗でしょ?」
「んー。」
おばあちゃんの言葉は私にはまだ少し難しいけど、それは確かに綺麗な景色だった。
「曇りは曇りだけど、これは明け方に曇る朝雲りと言うんだよ。昼間には暑くなる報せでもあるね。」
「そうなんだ!曇りにも名前があるんだ…。」
「そうよ。曇りは他にも名前を持っているから、また教えてあげるね。おばあちゃんは美しくて素敵な日本語が大好きなの。」
おばあちゃんは嬉しそうにそう言った。太陽が昇ってくるまで2人で朝雲りの空を眺めた。
3/23/2025, 11:39:51 AM