一匙

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眠れないほど

眠れないほど「終わり」について考えたことがある。
人はどんな顔をして、どんな話をするだろう。燃やされたらどこへ行ってしまうんだろう。大事にしていたぬいぐるみたちはどうなるんだろう。捨てられてしまうのだろうか。片時も離れなかった自身の骨さえもココにとどまる。

そんな未知が終わりの先にあふれてとまらないのだ。けっきょく答えなんてでない。でなくていいのかもしれない。なんとなくあれが食べたい、あの映画が見たい、あの作品の続きが見たい、あの場所に行きたい、小説が書きたい、まだ知らない誰かに会ってみたい。そんな小さくたくさんのなんとなくな楽しみを腕いっぱいに抱えながら生きていく。

あらがえない必ず来る終わりというものに震えながら、果のない遠くのことのように考えられている。それは終わりを想像したときに無数の楽しみたちがこちらに向かって手をのばしてくれるからだ。必ずどこかでひきとめてくれる。だから眠れないほど終わりを考えたっていいんだ。眠たくなったらあとは身をゆだねて眠ればいい。

12/5/2022, 4:56:21 PM