最初の私はまだ小さな子供だった。
目に映る全てのものが、耳で捉える全てのものが、鼻を擽る全てのものが、手に触れる全てのものが、舌で味わう全てのものが、初めて体験するものばかりであった。
周りを囲む世界は新しいものに満ち溢れ、常に刺激が絶えなかった。
私は好奇心の赴くまま、あらゆることを調べつくした。
毎日が疑問の連続で、毎日が発見の連続だった。
どうしてこれはああなるんだろう。
どうしてそれはそんなふうになっているんだろう。
どうして、どうして、どうして──?
いつの間にか私は大人になっていた。
私の周囲を取り囲む世界の中に、私の知らないことはなくなった。
あんなに日々昂揚していたはずの心は萎み、キラキラと輝いて見えていたはずの毎日が、とても退屈でつまらないものに感じ始めていた。
ああ、わからない。
私はどうしてしまったんだろう。
そこで私は、はたと気付く。
私にはまだ調べつくしていないものがあった。
私は私のことを何も知らない。
私は私のことを知りたくなった。
まず手始めに心について。
先程まではあんなにも空虚であった心が、今は少しだけ昂ぶり始めている。
どうしてこんな現象が起きるのか。
その仕組みを解明するため、まずは私の中にあるはずの心を取り出して調べてみよう。
【どうして】
1/14/2023, 12:14:05 PM