「何でそんな事言うの?」
私はクラスメートの高瀬に言い放った。
高瀬が私に対して余計な事するなと言ったから。
友達が町田くんのこと好きだから、町田くんの好きなタイプを聞き出そうとしただけなのに。
「やめとけって。そんなの、聞いた所で、好みじゃなかったらどうすんだよ?本人が聞くならまだしも、お前部外者じゃん」
「ちゃんと、優子には町田くんに聞いていいって言ったよ。いいよっていってたもん」
高瀬のトゲのある言葉に思わずムキになってしまう私。
せっかく友達の恋愛に協力しようとしてるのに、何でこんな風に否定されるのか分らない。
「本当にやめとけって、分からないやつだな」
イライラした口調になる高瀬。
「高瀬に聞いた私が馬鹿だった!もういいっ」
「あ、おいっ・・・」
私は高瀬の言葉を振り切り、町田くんのクラスへ向かう。
丁度お昼休み。
他クラスで、人数もまばらだ。
「あ、菜由!」
知り合いを見つけて、声を掛ける。
「おー、楓、どうしたの?」
菜由が笑顔で駆け寄ってくる。
「町田くん、いない?」
「町田くん?あー、今いないよぉ」
にやにやして話す菜由。
「最近同じクラスの井川さんと付き合い初めて、多分どっかで2人でご飯じゃないかなぁ?」
菜由の言葉に、私の顔から血の気がサーッと引いた。
「えっ、彼女、出来たの?町田くん」
「うん、最近ね、ラブラブだよ♪」
私はフラフラと、ありがと、、、とクラスを離れると、自分のクラスへと戻る。
私のクラスの扉の所に高瀬がもたれて待っていた。
「言ったろ?やめとけって」
「うん・・・余計な事しなきゃ良かった・・・優子に何て言ったらいいんだろ・・・」
あんなに嬉しそうに毎日町田くんの話を聞かされていたのに。
こんな残酷な現実をつきつけなきゃいけないなんて・・・。
私の涙目になる目を見て、高瀬は、私の肩を軽く叩いた。
「言わなくても良いんじゃないか?いずれ分かるだろうし。言うか言わないかは楓次第だけど」
「うん・・・余計悩みが増えてしまったよ・・・高瀬は知ってたんだね?このこと・・・」
「まぁ・・・町田は、同じサッカー部で、彼女の話してたからな」
そっか・・・
私を止めたのは、高瀬なりの優しさだったんだ・・・
「ありがと、止めてくれて、なのにごめんね、突っ走っちゃって」
私は絶望的な気持ちで謝る。
「楓らしいじゃん。人の為に頑張る所。でも、これにこりたら、恋愛の事に首を突っ込むなよ」
高瀬は優しい笑みで言う。
ううー。本当に私は馬鹿だった、でも聞いてしまったことはどうにもならない。
私は優子にどう告げようか悩みながら、高瀬に向かって神妙に頷いたのだった。
1/27/2024, 11:40:15 AM