龍那

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[見つめられると]

「やめてくれ」
 彼はそう言って、私の目を手で覆った。
「なんで」
 私はその手をどかして、彼の目をじっと見る。
 明るいチョコレート色の目が、狼狽えるように逸らされるのを阻止する。
「なんで嫌なの」
「だって、見つめられると。……その」
「うん」
 まっすぐ見つめて頷くと、彼の言葉はごにょごにょと小さくなる。
 目を逸らして。俯いて。蹲るように身体を小さく縮こめて。
 小さくなってーー。

「猫になる呪いが発動するから……!」
「だって可愛いじゃん!」

 全力で私にモフられる猫がいた。

3/28/2023, 10:56:04 AM