白井墓守

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『街へ』

マンドゴラの街へ、ようこそ!!

○○○

あたたかいお日様が目に染みる。
陽気な心地で、誰も彼もが日向ぼっこに勤しむ街。

そう、ここはマンドゴラの街。
通称・マンドゴラタウン。

此処には多くのマンドゴラ達が生息して暮らしており……、
そして、俺はそこに住む唯一の人間だ。

「マッマッマッ!!」
「はいはい、飯な」
「マママー!」
「どうだ、美味いか?」
「マアマアァ〜」
「……クソが」

マンドゴラのご飯は、太陽の光、そして砂糖を少し溶かした水だ。
この砂糖には、ランクがあるらしい。
俺はよく、そこら辺の雑貨で買える氷砂糖を使っているが、まあまあ扱いされる。
……ちょっと、くやしい。

俺は此処に来たときの事を思い出す。
三年前、トラックに轢かれかけたと思った俺は、気がついたらマンドゴラタウンの街道に倒れていた。
そこから色々あって、俺は結局マンドゴラタウンのマンドゴラ水やり係に就任したって訳だ。

正直、戻るつもりはない。まあ、戻る方法も知らないが。
元の世界で俺が務める会社は、ブラック企業だった。
それに比べたら、味噌も醤油もないこの世界で、植物に囲まれながら死にたい。
俺はそう決意することが出来た。

「あっ、こら! お前またそんなに盗み食いして! 太るぞ!!」
「マママ!!?」

マンドゴラの中には、水に溶かす氷砂糖を、溶かさずにそのままバリバリと食べる個体が存在する。
そういう個体は、太る。大きいというより、横にデカくなって体の動きが鈍くなる感じで……太る。
だから、しばしば注意しているのだが、氷砂糖を盗み食いする個体は絶えない。

「あ……お前、そうか。うん、まあ、頑張ったな?」
「…………マ」

マンドゴラの中には鈍いヤツも居る。
みんなが日向ぼっこしてる場所に行こうとして迷子になり、もうここでいいや!とばかりに日陰で手だけ日向に出して倒れ付すモノもいる。

「仕方ねぇな……ほら、よいしょっと」
「マママー」

連れて行ってやると、感謝のおじぎとお礼の言葉を言ってくれる。正直、嬉しい。
仕事して感謝されるって良いなって思う、まじで。

そして、俺の生活はだいたい、こんな感じ。

○○○

ここは、マンドゴラの街、マンドゴラタウン。
もしも仕事に疲れたら一度はおいで、マンドゴラの街へ。

「ママママ!!」
「え、なに!? 訪れた旅人が気絶した!?」

……ただし、耳栓を必須でお願いします。
ここはマンドゴラの街、マンドゴラタウン。

人間は普通にマンドゴラの声で気絶します。
俺の転生? 転移チートがマンドゴラの声無効で、本当に良かったぁ〜。


おわり

1/29/2026, 12:12:48 AM