今年も暑い夏がきた。山の上にあるグランドは平地より太陽がぐっと近い気がする。強い陽射しがグランドを照りつける。そんな中でも白球を追い続けるやつら。正直、かっこいい。普段はお山のサルのようにむかつくやつらなのに、汗を流し監督さんやコーチさんに怒鳴られても諦めない姿に胸が熱くなる。やつらは野球が好きでただ毎日鍛錬しているだけなのだが、私はなにかを好きでここまで没頭できるものがないから悔しいけど、やつらのことを尊敬している。口が裂けてもかっこいいとか尊敬しているなんてやつらにはいわないけど。
今年は私も最後の夏。悔しいこと嬉しいことたくさんあったな。私もなんていったけど、チームの一員として存在しているのか最後までわからなかったな。チームの一員だなんて図々しいか。野球が好きなんじゃなくて好きなことに熱中できる真剣な眼差しが好きでたまたま一緒の場所と時間を共有してきただけだから。
試合終了のサイレンが鳴る。7回コールド。かつて古豪と呼ばれたチームは呆気なく3回戦で敗退した。今までお世話になった保護者さんやサポーターさんたちに感謝を伝えた。去年のチームより終わりは早いって覚悟していたはずなのに最後の日を迎えてしまうと寂しいような悔しいような。
「おい、お前もありがとな。1人でマネージャー大変だっただろ?」
やつらが声をかけてきた。なにか溜まっていたのかわからなかったけど、ぶわっと涙が溢れて止まらなくなってしまった。
今年も7月がくる。またあのころの私たちが今の自分たちを応援しにやってきてくれる。あの頃、こんだけやれたんだ、頑張れたんだ、今だって頑張れるって。実際に姿は見られないが、テレビ中継で白球を追いかける球児たちをみるとやつらの姿が重なる。またやつらに元気づけられた。悔しい。でも、ありがとう。
この子たちもいろんな努力と挫折を経験してグランドに立っている。テレビを見ているだけではわからないが伝わるものはある。今年の太陽は例年より厳しい。この太陽の下でどんなドラマがうまれるのか。
11/25/2023, 1:47:59 PM