せつか

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子供の頃の記憶は曖昧で。
アパートの階段から落ちたことや、保育園のプールで溺れたことはやたら憶えているのに、仲のよかった友達の名前や顔はおぼろげにしか憶えていない。
小学校、中学校もそんな感じで、やたら鮮明に憶えていることと、ロクに憶えていないことがある。

そんなものなのだろうか。
自分の頭も他人の頭も、中を見ることは出来ないから、体験や知覚、学習で得たものをどうやって整理、ストックしてあるのか分からない。
思い出せないことは生きていくうえでさして大切なものではないのかもしれない。
でも、仲のよかった友達の顔を思い出せないのは·····少し寂しい。
医学が発達して、人の記憶をすべて辿ることが出来たら、いつかこの寂しさは消えるのだろうか。


END


「記憶の地図」

6/16/2025, 3:09:48 PM