かたいなか

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「風邪引いて、看病されるネタが2件。
熱中症で倒れて、涼しい部屋で休むネタが1件、
上司が風邪の仮病使うネタが、1件。
……他に何か書いたかな」

結構これまで、去年の「風邪」のお題も含めて、ヨリドリミドリ書き尽くした感あるんだが?
某所在住物書きは、ショウガと鶏肉のスープでふーふー。体を温めながら呟いた。
アメリカでは風邪を引くと、チキンスープが話題に出るらしい。 日本ならば、おかゆだろうか。

「……そうだ。チキンスープだ」
風邪そのものの物語は書いたが、風邪の際に体を温める食い物の物語を書いていなかった。
「来年に残しとこっと」
来年だ。来年の分も、残しておかねば。物書きはメモに「チキンスープ&おかゆ」と書いて、
まぁ、まぁ。1年後、それを忘れるのだろう。

――――――

最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。
某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしており、
その内のおばあちゃん狐は、ツバメやルリビタキ、ロシアンブルーやコリーなんかが居る職場で、
キツツキとして、昔仕事をしておったのでした。

なんだかヘンテコリンな設定ですね。
大丈夫。どうせフィクションのファンタジーです。
細かいことを気にしてはなりません。

さて。 その日、狐のおばあちゃんは、
人間の巫女さんに化けて、政治家の悪い先生方から託宣料1000万円をふんだくり、
それを元手に、お金が苦しい参拝者さんや信者さんに向けた無料茶飲み回の準備をしておったところ、
昔の職場から、珍しく、荷物が届きました。

それは、昔の相棒が、おばあちゃん狐のお孫ちゃんのために編んでくれた、ネックウォーマーでした。
『人間に化けてお出かけするとき、体を冷やして風邪など引かぬよう、これを付けてね』
おばあちゃん狐の相棒、野良ばーちゃんのメモが、手作りネックウォーマーと一緒に入っておりました。

「どうだろうねぇ?」
おばあちゃん狐、昔の相棒の変わらぬ優しさを、
しかし、ちょっと疑問形で受け取ります。
「そもそもあの末っ子が、『ネックウォーマー』の言葉と使い方を、理解できるかどうか」

まぁ、預けてみましょ。 コンコン、こやこや。
おばあちゃん狐はネックウォーマーを、
縁側で日向ぼっこしている末っ子の孫狐に、
持っていってやったのでした。

「なんだ。なんだこれっ」
場面が変わって、日向ぼっこなどしておった子狐です。大好きなおばあちゃん狐が、コンコン子狐に妙な「輪っか」をくれました。
「あったかい。あったかいけど、なんだこれっ」
おばあちゃん狐は子狐に、野良ばーちゃんのメモも見せてくれましたが、子狐は子供ですので、あんまり難しい文字は分かりません。
だけど本能で、輪っかの穴の中に入りたくて、うずうずして、ひとまず頭を突っ込んでみたところ、
あらすてき。頭が、顔が、狐耳がポカポカ。

「あったかい。 あったかい」
そのままズンズン、輪っかの中を進んで進んで、
気がつけば、おばあちゃん狐が子狐に持ってきてくれたネックウォーマーは、
末っ子子狐の狐の体に丁度良い、お手々とあんよまで包んでくれる、腹巻きになっておりました。
編み方がゆるふわだったので、丁度、スポン!
お手々もあんよも、網目から出せたのです。

「ノラばーば、はらまき、つくってくれた!」
コンコン子狐は大喜び。
「おばーば、おばーば。 ノラばーばが、キツネに、はらまきつくってくれた。あったかい!」
おばあちゃん狐としては、「まぁそうなるよね」の感想。ネックウォーマーの言葉と使い方を、やっぱり子狐、分からなかったようです。

「外に出るとき、体を冷やして風邪を引かないように、作ってくれたんだよ」
おばあちゃん狐が子狐に、コンコン、教えてやりました。間違ってはいません。事実ではあるのです。
「お礼のお手紙を書いたらどうだい」
おばあちゃん狐が言いました。
「おばーばがお礼と一緒に、届けてあげるから」
コンコン子狐は尻尾を振って、すぐ自分の部屋に走っていき、画用紙とクレヨンでお返事を、
ぐりぐり、ぐりぐり。描き始めたとさ。

12/17/2024, 4:16:03 AM