紙月

Open App

こないだ見た夢だ。

大学生活を謳歌し、暇を持て余している僕が見るには、
あまりに想像力豊かな夢だったように思う。

〜〜〜
それは深い森の中だった。
鬱蒼と生い茂る雑草を掻き分け、僕は当てもなく進んでいた。
草たちはお化け屋敷の小道具のように薄気味悪く肌に触り、木たちは迷惑そうな様子でこちらを見ていた。

なぜ僕がこんな目に遭わないといけないのか。
なぜみんなそんな顔をするのか。

僕だけが世界から、宇宙から切り離された感覚だった。
森の中にいても、目には見えないが、そこには確かに壁があった。

僕はその壁を壊そうと叩きまくった。
何度も何度も叩き、砕けた破片が拳に刺さって、透明な血を流した。

それは暖かな涙だった。
涙そのまま僕の体を伝い、溶けた雪のように地面に染み込んだ。

すると小さな芽がでた。
とても小さいが、これから大きくなることを予感させる力強い芽だ。

その芽は段々と成長し、大木となった。
そしてその大木を中心に森は、よくあるような自然な森へと変わった。

もう薄気味悪い草も、迷惑そうな木もいない。
みんなそこに存在していて、僕はその息遣いを感じることができた。

僕は深呼吸をした。
木々の間を通り、草の匂いを運ぶ風のように。
〜〜〜

そこで僕は目を覚ました。
なんかよくわならない夢だったなあ、、

外では、葉がさらさらと音を立てて揺れていた。

ああ、もうすぐ春か。
芽吹きのときだ。

3/1/2025, 8:52:07 PM