※イジメ表現あり注意
『カチカチ中学』
僕は童話が大好きだ。小さい子にもわかりやすくて、面白くて、教訓がある。童話は素晴らしい。誇りに思う。中学生になってもその気持ちは変わらない。童話を読んで育ったから、よくいい子とか、優しいとか褒めてもらえる。照れるけど凄く嬉しい。
今日はテストが返された。自慢するつもりじゃないけど、全教科満点の学年1位だった。地道に努力することが大切って「3匹のこぶた」で学んだからね。クラスメイトの1人に、「お前って天才だよな〜。その上、運動もできて優しくて真面目で… 勝てるわけがない。」と言われた。「褒めてくれてありがとう。でも君にも良いところがたくさんあるよ。友達思いで、みんなを笑わせられるところとか!」僕はそう言った。「ホントいい性格だわ〜。勉強は置いといて、その性格はどう生まれたん?」僕はその質問に食い気味で答えた。「僕、童話が好きなんだ!そこから学んだ!3匹のこぶたとか、金の斧銀の斧とか!」大好きなものを誰かに言える!この幸せに浮かれていた。…直後重い石をぶつけられて沈んだ。「えっ!お前絵本好きなの?w子供じゃんwダサw女子全員蛙化だろうねww」…え? え?理解ができない。でも、酷いことを言われたことはわかった。目頭がかぁっと熱くなる。「…冗談冗談っ」微笑んで返した。自分が誇りに思っているもの、尊敬しているもの、大好きなもの、それを悪く言われたら、自分自身が否定されたみたい。許せない。カチカチ山の教訓は「悪い事をした人には天罰が下る」僕は悪い狸に天罰を下さなきゃ!
カチカチ山のうさぎは、狸が背負っていた薪に火をつけて火傷をさせた。火傷は可哀想だな。そういえば彼はポエムを書いていた気がする。写真でも撮ってネットに投稿してみるか。次の日、僕は彼が帰った後、ポエムを盗った。置いていっていることを確認したからね。写真を撮り、机に戻す。新しいアカウントを作って、「同級生のポエム痛すぎワロタw 勝山中学2年3組19番狸森蝦夷太」と写真を添付して投稿。拡散されたタイミングでアカウントを消す。翌日、クラスで、いや学校はその話題で持ちきりだった。こんなのまだ序の口だ。 うさぎは火傷をした狸に唐辛子を混ぜた薬を塗らせて追い打ちをかけた。火傷はしてないし、痛いのは可哀想。彼の給食に下剤を入れた。午後の授業からいなくなってた。 最後うさぎは、狸を泥の舟に乗せて溺れ殺した。殺すのはダメだ。彼は自分の力や容姿に少し溺れている。そこをもう少し沈めてやろう。僕は彼を褒め称えた。ありとあらゆるところを。気分が良くなっているところで言う。「動画とか投稿してみたら?かっこいいし、面白いから絶対人気出るって!」彼は本気にして動画を投稿した。「イケメン中学生」として。もちろんアンチや批判コメでいっぱいだ。僕がポエムの人だとコメントしたら、トレンドに入っちゃった。一週間後、彼は自〇した。僕はいま心の中で誇らしさが溢れている。自分の好きなもので悪いやつに天罰を下すことができた。彼は自分が好き。僕の好きなものを悪く言ったんだから僕も言っていいよね。僕が彼を〇したわけじゃないし。やっぱり童話は凄い。一生僕の誇りだ。
8/17/2024, 8:20:14 AM