月凪あゆむ

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冬晴れ

 生命の誕生は、いつになっても「神秘」だと思う。
 この子で三人目。だというのに、いや。
 きっとどれだけの子を迎えても、こんな感じだろう。
 子供二人のほうが、落ち着きさえ感じていて。自分が父親だというのに、これでは示しがつかないような。けれど「慣れる」気はしない。
まったく、なんと言えば良いやら。

 だって。
 早くに産まれることで未熟児どころか「超」の未熟児になるでしょう。
 そんなことを言いわたされたのが数時間前。妻の、苦しむ声の先。

 長く、永く感じた時間の末に。
 ――おめでとうございます、女の子ですよ。
 声は、なかった。そのまますぐ、どこかへ連れていかれてしまった。今腕に抱くには、あまりに小さすぎるから、と。

 一瞬見えた。小さい。とっても。手のひらサイズもいいところだ。
 名前は、決めていた。
 冬の晴れまと書いて「冬晴れ」、今日のような日に。
 ――ひより、と。

1/6/2025, 3:40:50 AM