いおり

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紅茶の香り
兄の匂い

兄は紅茶が好きだった
色んな紅茶を買い求め
これは美味しい
これは違うと
ひとりで楽しそうにやってた

だけどあいつが家を出ていって
紅茶の香りはぱたっと消えた
その代わり
ひとりで暮らすあの部屋に
人工的な
鼻を刺す紅茶の香りがするようだった

それは誰かの気配とも感じとられた
私以外は気づいてないけど
兄にも春の紅茶がやってきたのだろう
その紅茶には
痛々しい棘がありませんように。

_ ₁₃₁

10/28/2023, 12:15:06 AM