"子供のままで"
大我はあまり笑わない。
笑ったとしても、それは煽るような挑発的な笑みで心からの笑顔は、普段は殆どしない。
だが二人の時は、笑顔をよく見せてくれる。
そんな大我の笑顔が好き。
小さな花が静かに咲くようなふわりと笑う笑顔も、子どものような純真無垢な笑顔も好き。どちらの笑顔も可愛い。後者は本人に言ったら『悪かったな、ガキみてぇで』と拗ねてしまいそうだから、聞かれても言わない。
俺の前で笑顔を見せてくれると、俺が大我の安心できる居場所になれている、とその度に実感する。
勿論普段も可愛い。無意識にあのハンドサインをするのも、驚いた時の反応も。
付き合って間もない頃。初めて部屋に入った時、棚に専門誌や論文等が几帳面に並び収まっているのに、下の引き戸の中にいわゆる少女漫画が一つの段に二列ずつ収まっているのを見て『随分可愛いものを読むな』とページを捲りながら思ったが、意外には思わなかった。むしろ、だからたまに女性的なアプローチをするのか、と納得した。
それと、漫画の影響を受けている所も子供のようで可愛いな、と《花家大我》という男の魅力に、更に溺れた。
自分よりも年上なのに純粋な所があって、可愛いのと同時に危なっかしさ。
健気で真面目で素敵だと惚れて、既にどうしようもない程に溺れていたとばかり思っていたが、どんどん魅力に、現在進行形で溺れていく。
普通の人なら大人になるにつれ忘れてしまう。子供のような純粋さを、 いつまでも忘れないで欲しい。
5/12/2024, 12:32:37 PM