夜兎

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「悪いけど、好きな子が居るんだ」

告白する前に失恋決定。
タイミングの悪さにその場に座り込んだ。

忘れものを取りに来ただけだった。教室の引き戸を開けようとして先客に気付いた。
慌ててしゃがんで姿を隠す。告白を立ち聞きなんてするつもりはなかった筈なのに、動けなかった。

好きな人が別の子に告白されていたことより、
思いを寄せる人がいる事実がショックだった。
動けず項垂れていると肩を叩かれた。

「……どうかした?」

彼が教室から出てきて声をかけてきたが、緩やかに首を振る。「告白を聞いていました」なんて言えず沈黙を貫いた。





7/29/2025, 11:47:23 AM