愛聖

Open App

楽園

もう手の届かない君へ、手紙を宛てた。

――ねえ、そっちは幸せに暮らせてる? 君から見える景色はどんなもの? お花畑? それとも真っ白な雲の上?

聞きたいことが多すぎて、便箋の数は4枚にわたった。

僕がいる世界よりも、そっちはずっとあたたかいのかな。君が元気に暮らせているといいな。
となりに僕がいることができないのは残念だけれど。

――ねえ、そっちにいる人達はみんな優しいのかな。
生前、たくさんの苦労をしてきたんだ。みんなが君のことを褒め讃えてくれたらいいね。

君の苦労や葛藤、困難も全部全部、僕だけは知っていたから。君が頑張って生きていたところ、毎日見ていたよ。

そこが君にとっての楽園だったらいいな。

これまで生きていてくれて、ありがとう。僕の人生に変化を与えたのは、まぎれもなく君だよ。

きっと辛かっただろうに、僕の前では笑顔を絶やさなかった。そんな君が愛おしくて、本当は離したくなかった。

開け放たれた窓から、白い鳩が飛び立った。どこまでも広がる青空へ消えていく。脚にくくった手紙が、無事君のもとへ届きますように。

今度こそ君が、いつまでも幸せでいられますように。

4/30/2026, 6:09:48 PM