夢の断片
俺に変な能力が芽生えたのはつい最近の事だ。
刑事という仕事を選んだ俺は日々悪質な犯罪、事件と闘っていた。
ある事件を追っている最中、捜査資料を徹夜で漁っていた俺は急な睡魔に負けてその場で眠ってしまった。
その時、俺は呑気にも夢を見ていた。
直前まで資料を読んでいたせいか夢の中でも仕事をしていた。
突然、頭を貫かれたような鋭い痛みを感じ反射的に目を瞑ると、脳内にフラッシュ暗算のように断片的な映像がパッパッパッと素早く流れて行った。
思い出せるものを繋ぎ合わせると、あるアパートが浮かび上がった。
「まさか…犯人がここにいるってのか?」
夢のできごとなんて、と懐疑的だったがなんとなく胸騒ぎがして目覚めた俺はすぐに先輩に連絡してもう一度捜査資料を分析し直すことにした。
その結果、奴のアリバイを崩し最終的には犯人逮捕へ至った。
その後も、新たな事件を追う度に俺は急に眠り断片的な夢を見てはそれを捜査の足がかりにした。
"夢" という非科学的・非現実的な方法ゆえ、この事は先輩にも誰にも言うことはなかった。
ある時先輩から、
「最近いやに調子いいけど、違法捜査はしてないよな?」
とせっつかれ俺は誤魔化すように答えた。
「刑事のカンが当たってるだけっすよ。」
11/21/2025, 11:31:09 AM