我はかつて人間どもに恐怖をもたらした大妖怪である。
しかし人間どもに遅れを取り、封印されてしまい、名も奪われた。
しかし、長い時間を経ては強力な封印も綻ぶもの
その綻びを突き封印を破ったのだ
四百年ぶりに肌に触れる空気に、懐かしさを覚える
我を封印した罪を贖ってもらうとしよう
だが力はまだ完全には取り戻せてない
まずは情報収集だ
人里に降りねばなるまい
街に出ると、見知らぬ建物がたくさん建っており、かなりの時間が経っているのが嫌でもわかった。
人通りが多いことに驚くが、色々な見たこともない飾りつけがしてある様子を見るに、祭りのようである
少し歩いてみると、違和感に気づく。
妙なことに人間は見当たらず、妖怪ばかり歩いている
見たことない妖怪もいるが、恐らく外国の奴らなのであろう
しばらく歩いても人間の気配が感じられない
恐らく人間は絶滅したのだ
何故かさみしくなった。
人間どもは、はっきり言って嫌いである。
しかしこの虚しさはなんだ。
もしかしたら、我は人間と戰う時間が好きだったのだろうか。
技と技を競い合い、お互いの優劣を決める
そんな時間は来ないのだ。
まさか、あの頃を懐かしく思う日が来ようとは。
懐かしく思うことは無しにしよう
気持ちを新たに切り替え、情報収集に努める
考えるのはそれからだ。
まずはこの祭、何という祭りなのか
近くにいた、特徴的な角の鬼に話しかける。
すると鬼は不思議そうに答えた。
「知らないなんて珍しいですね。ハロウィンっていうイベントですよ。人間がお化けとかに変装して楽しむんです。ほら、この角取れるでしょ」
10/31/2023, 9:16:20 AM