「視線の先には」
いつも誰かに囲まれひらりひらりと舞う君の心は一体誰を見てるのか。
ほんの僅かの間、視線が交差した。すると、全身の筋肉が強ばって、心臓を吐くんじゃないかと思うくらい強い動悸と、クラクラする熱を感じた。
思考は、なぜあの輪に加われないのかということに囚われている。そうすれば、君の視界に入ることができるし、きっとこの胸の刺すような痛みもやわらぐだろう。それなのに、少し前に歩むことが出来ないのは…。
◇◇◇
いつもくっついてくる彼らより少し遠くから強い熱を感じる。私は何となく気まづくて、でも少し気になるその存在を周囲に目を向ける振りをして盗み見た。それは、見事な白銀でとても美しく逞しい狼だった。
あの時から一人でいるとキミの姿がフラッシュバックする。ああ、キミは何を見ていたのだろうか。私はキミに囚われているというのに。
7/19/2022, 2:18:55 PM