とある恋人たちの日常。

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 女難の相が出ていると、よく言われていた。
 
 怪我をさせてしまったお詫びにご飯でもと伝えると〝デートの誘い!〟と言われてしまったり、初めて会った女性に〝結婚しよ!〟と言われたり。
 
 否定しても、周りから埋められて行く。
 それぞれ遊んだり、話していくと面白い人たちだと分かるけれど、毎度恋愛絡みでからかわれるのは少し疲れてしまった。
 
 だって俺は、そんなつもりはないんだから。
 
 時間が経てば経つほど、面倒くさいことになっていく。みんな、どっちを選ぶんだとニヤニヤしながら言ってくる。
 
 そんな状況でも、会いたい人がいた。
 おっちょこちょいなのか、すぐ怪我をするから、目が離せない彼女。
 
 周りに人が集まっていて、みんなに大切にされているのが分かる。
 
 それは、よく笑うだけではなく、気を使ってくれるところ、そして仕事に前向きで……。
 頼りないと思っていたのに、いつの間に後輩ができていて、誰よりも頼りにされるメカニックになっていた。
 
 自然と俺も、バイクも車も彼女に整備をお願いするようになっていた。
 
 請求書に、俺を思いやる優しい言葉を見つけた時、凄く嬉しかったんだ。
 
 色々と巻き込まれて疲れると、どうしても会いたくなる彼女。
 その彼女は今、俺の恋人になっていた。
 
 疲れて逃げた先で、会いたいなんて思う彼女。そんなの初めから恋に落ちている証拠だ。
 
 仕事で疲れた中、彼女に会いたいなと考える。
 こうやって思い返すと、最初から彼女に決まっていたんだよな。
 
 ああもう!!
 仕事が終わったら、早く帰って彼女を抱きしめたいー!!
 
 
 
おわり
 
 
 
お題:最初から決まっていた

8/7/2024, 1:14:44 PM