君が見た夢
君は叶えられたのだろうか
愛する人と暮らす家庭に白いストライプのレースのカーテンがなびく、日の当たる午後の静かな時間をコーヒー片手にぼんやりと幸せな気持ちで見ていられる生活を
「ただ、それだけでいい」とうつ向いて言った君に
「未だ無理なんだよ…」それを繰り返して言った5年目の翌日
テーブルに「分かりました ありがとう 楽しかったよ」それだけ書いて君は消えた
以前から親が結婚にうるさいとは聞いていた
僕は両親も消えたあの日から
家庭とはただぼんやりとした暮らしだった
食べていければいいじゃん
一緒に居られるなら他に何が必要なの
実の子供だって置き去りにされるのに
法律に何の意味があるの
そんな思考の持ち主の僕には
君の夢はそのぼんやりした中の
違う世界の様に聞いていたんだ
僕は親を恨んでいる
幸せになってやるもんかと
心の奥でいつも言っている
死んでも良かった僕は
生きていて悪かったねという気持ちなんだ
僕は君の居ない生活もいつもと変わらず仕事へ行き、飯を食い、寝て、又仕事へ行く
生きていられるだけでいいんだと僕は思ってしまう
夢なんてない
でもね…自分でもびっくりしたんだ
君を失ってから
家族連れをみると…僕は泣いていたんだ
感情なんて無いのに涙だけ出るんだ
親が自分を捨てて以来の温かな涙だった
そうか…涙って温かいんだな
感情の伴わない涙にはこんな感想しかない
君はあの家庭の様に
夢を叶えて欲しい
未だ未だ…僕は過去を乗り越えてられないのだろう
12/17/2025, 2:52:13 AM