頬にあたる風の冷たさでまた一つ季節が老いたことを知る。隣を歩くきみに寒いね、なんて声をかけようとして僕は口を噤む。強張った頬を染めて前を向く姿がまるで知らない人のようで。もし声をかければ微笑むと分かっていても。その横顔を眺めていたかった。あと幾つ、僕の知らないきみを見つけるのだろう。この季節が巡るたび、またひとつ、またひとつ。冬がはじまる。お題【冬の始まり】
11/29/2023, 2:43:25 PM