さっくん

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~夏~

「はぁぁ…」

それが僕の口癖となる
言葉の始まりだ。

最低な人間だと分かっている。
人前でため息なんて
ダメなことなのについてしまう…

誰が僕を求めるのか
ついつい頭の中で問いかけてしまう


けれど僕はこんな
寒い季節がとても好きだ
毛布に包まれれば
心も暖かく
そして…人の気配も
気にせず過ごすことができる


「冬なんて毎年来い!」
なんて願っても押し寄せるように来るのが
夏という四季だ。

「あれ?」

「もしかして僕って頭いい?」

急に思いついた
気になる?気になるよね!

僕は1人のこの部屋で
声を押し殺すように笑っている

「僕のこと必要と思ってない」
「それでもって夏は嫌い」

気づいちゃったかな?
そう!実はね

「冬の間に死のうと思ってるんだよね」
ね!いい考えでしょ!

さて…計画的にやらないとね
バレないように

遺書なんて残すのって
カッコイイかな?

いや…突然の方が
後々の事が楽なのか?

悩みに悩んでいると
ドアの方から声が聞こえてくる

「いつまで起きてるの!」
いつもの恒例の説教だ。

僕は
「もうちょいっ!」

今の気分は
とても『楽しい』に分類される

そしたら僕はお母さんにむかって言うんだ
「死んだらいつでも寝れるからさ!」

おっと…沈黙だ

勘づかれたか?
バレたら面白くないし

頭をひねって
考えていると母親の気配は
薄れていった。

次の日になると
僕はかっこよく死ぬために
色々と工夫を始めた。

紙に助けて欲しかったことを
書き綴るのも良いだろう!

時間が徐々に過ぎていくと
チャイムがなった。

「お母さーん?」
返事はない

仕事か?
それにしてもこのタイミングかよ…

俺はため息をつきながら
扉を開ける

宅配便か
送り主は…っと
なんだ
おばあちゃんか

手紙付きで
ある布状の物が届いた

着物だ。
手紙には
「これを着て行事など
満喫してください」とね

なるほどね…
着物って夏祭りに着るのが
無難だよな?

もしかしたら
おばあちゃんが僕に送る
最後の希望なんだと
息をすることを忘れるほど
驚いている。

それを着て
『夏』まで生きろというのか
しょうがない…人にお願いされたら
言うことをきくしかないだろ

分かったよ
僕は『夏』まで生きようと
心に決めたのだ。


(太宰治さんの名言を元につくりました!)

6/28/2022, 1:29:13 PM