目を開けるとそこは自室
冷たい外気が私を包む
動きたくないけど動かないといけない葛藤の末
やっとの思いで扉を開けた。
そこにはキッチンに居るママと目が合った。
「おはよう」と言い合って抱きしめ合った。
ママは冷たかった。
パパはリビングにいた。
コタツに入って新聞を読むパパに
「おはよう」と言い合って抱きしめ合った。
パパはあったかかった。
私はテレビの真正面に座って
コタツに入る。
「あぁあったかい。」
冷えたからだを早く温かくしてくれる。
ここが天国かなんて思っていたら
テレビ台の横の写真が目についた。
そこには私たちの家族写真があった。
酷く悲しい気持ちになったのは
私がナニかを忘れているのだろうか?
今日は休日だと言うのに
パパは私に制服に着替えてなんて言う。
パパ今日は休日だよ。なんて言おうと横をむくと
パパは元気じゃないみたいだった。
「パパ?...ママにそんな顔見せない方がいいよ。
だって心配性なんだから。」
毎日ママに髪の毛可愛くしてもらってるから
ママに頼もうとしたのに
もうママは居ないみたいだった。
「パパーママはどこ行ったの?」
行き先も言わずに家を出るなんて
ママじゃないもん。
パパはいつもよりぎこちなく
「早めに家を出たのかもね」とか言ってたけど
本当はママはもう居ないのかな?
今日はお葬式らしい。
お葬式は死んだ人にさよならする式だって
聞いたことがある。
朝抱きしめたママはオバケなのかな?
私には分からなかったけど
心がスーッと冷えた気がした。
心細くて怖くなってパパに抱きついた。
良かったパパはあたたかいね。
パパは冷たくならないでね。
─────『あたたかいね』
1/11/2025, 11:45:33 PM