電車から降りると、冷たい風が吹き付けた。あたたまった身体から急速に熱が奪われていく。歩きながらマフラーを取り出しぐるぐる巻いた。きしむ指先に息を吐きかけて、同じことを君がしてたなとおかしくなる。
駅を出たら真正面に夕空。薄い桃と紺の境目が、絵の具に水を垂らしたように曖昧になる。
私の知らないところで、できたら今日も何かに笑っててほしい。たまに揺さぶられて空を見上げても、明るく健康的に日々を送れていますように。
寒くなるとやはり思い出してしまうな。心の片隅で君の幸せを願うよ。そんくらいでたぶんちょうどいい。真ん中に置いてしまうと、なんだか重たいからね。
『心の片隅で』
12/19/2025, 8:14:02 AM