”夏の忘れ物を探しに”
あれはずっと昔
あれだけ好きだったサーフィンをやめた
春夏秋冬海に行く程夢中になってた
それはある夏の終わり
私の大好きだった”たっくん“が
突然天国に旅立った
ずっと一緒にサーフィンをして
ある時は思いっきり
サーフィンの話でケンカして
ある時は思いっきり
サーフィンの話で盛り上がり笑った
おじいちゃん
おばあちゃん
になるまでずっとサーフィンしような!
って言ってたのに…
いつも一緒だったのに
その日私は就職の面接で
一緒にサーフィンに行けなかった
”明日一緒に海行こうな!面接頑張れよ!“
それがたっくんと最後の会話になった
おじちゃんから連絡が来て
慌ててたっくんの家に行くと
まるで寝てるようなたっくんがいた
私はたっくんの冷たい顔に触れて
はじめてその現実を知った
けれど不思議な事に涙は出なかった
私はお葬式の次の日
たっくんと行っていた海に
サーフィンに向かった
海に着いた時に突然涙が溢れた
”たっくんが隣にいない“
そう思った瞬間私の身体は震えた
震えと一緒に涙がどんどん流れて
海に向かって声を出して泣いた
たっくんがいなくなった
怖さと
寂しさと
悔しさと…
自分が壊れて行くのを感じた
私はその海に二人の思い出を置いて行き
そして私は大好きだった
サーフィンをやめた
誰にも何も言わずに…
それ以降
たっくんと行った海には
一度も行っていない
あれから20年位月日が流れ
私にも家族が出来て
息子がサーフィンをはじめた
”何でサーフィン?“と心の中で呟いたが
どうしてだろう
サーフボードを持ってる息子が
たっくんとかさなってしまう
私は息子に言った
”良いポイントがあるんだけど行く?“と!
”行きたい!“と息子が私に言った
たっくんごめんね!
勇気がないから息子と行くね
たっくん!
私があの夏の忘れ物を探すのを
手伝ってね
9/1/2025, 10:49:12 AM