壊 玖 麗 秋 エ ク レ ア

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テーマ:幸せとは

「…な、幸せってなんだろうな」
いつもなら、阿呆なことしかしないし思い付かないあいつにしてはシンプルだが賢そうな問い。
「幸せは人によってカタチがちがうっていうよな。でも、本質は同じと思うんだよ。」
「めずらしく、今日は賢そうなことを言うな。
まぁでもカタチの本質は同じなのかもしれないな。これは哲学になるが。」
あいつから出されたカモミールティを飲む。
本当ならレモンティがよかったんだが…レモンティのティーバッグが無いらしい。
どちらにしても安っぽい味にはかわりないし、それが普通だから気にしないが。
「…お前って哲学気にすんの?」
ぱくりと市販の数百円程度のお菓子を口に放り込むあいつに話し掛ける。
「…あーいや、昨日占いサイトしてさぁ、
”今の貴方の幸せは正しいものか考えてみましょう。幸せとはなにかを。”って書いてたから…」
あぁ、成程。
なんだか、今日は哲学じみたことを聞くな、とは思っていたが単純なことだった。
あいつらしいと言えばそこで終わりなのだが。
「なんと言えばいいのかね…
まぁ占いサイトなんてアテにならん。すぐにサイトを閉じてやめるのが賢明だろ。」
確かに、と一言言うと、またお菓子を頬張る。
俺の分を残すという選択肢はあいつには存在しないらしく、早いペースで食べ続ける。
「占いサイトはアテにならん、かぁ…
じゃあさ、俺が占いサイト始めてたらどうする?」
急に変なことを言う。
すぐに「友達やめるかな、それかすぐやめさせる」と即答するとひでぇ笑とそいつは笑う。
「…でも、大体なら誰でもそうするだろうよ。
だって、俺占い嫌いだし。
あんっな嘘っぱち要員好きになれん。占い師なんてただの詐欺師だし、あいつら、親に職業胸を張って言えないだろどうせ…それに……」
嫌いな理由を言い連ねていると、親でも殺されたのかよ笑笑とさらに笑うそいつ。
親は生きてるし病気でもない。
それはそいつがよく判っているはずなのに
「…もうそろそろ帰るよ。
俺レモンティじゃないと嫌だからさ。」
「このレモンティの過度な愛好家め…俺との会話を楽しもうとかは無いわけ~?!」
「無いって。
………お前は”あいつ“じゃないんだから。」
どろりと溶けるあいつのふりをしていたそいつ。
「妄想に付き合わせちゃって、ごめん。」

1/4/2023, 10:42:59 AM