夜空に輝く無数の星。
小さな小さなきらめきの一つ一つが、それぞれ何億光年も離れていて、それぞれがまったく違う性質を持っている。
私達は遥か天上で輝く星々に憧れの眼差しを向けながら、いつか星の海に到達する日を夢見ている。
「私達がこうして見上げているように、あの星のどこかから私達を見上げている誰かがいるのかもね」
「あぁ、地球によく似た星は必ずあるって、誰か言ってた気がする」
「いつか出会えたら面白いね」
◆◆◆
「·····だって」
「やめてくれ。あんな原始的な星の生き物なんて、こうやって遠くから観測するだけで充分だよ」
「観測するってことは興味あるんじゃない?」
「とんでもない。憧れを口にしながらゴミを撒き散らす彼等がこれ以上近づかないように、監視してるだけだよ」
「分かってはいるみたいだけどね、彼等」
「分かっているなら早く片付けろってんだ」
「片付けられるだけの技術が彼等の身についたら、それこそ私達の星にまで近付けるんじゃない?」
「それは無理だよ」
「そう?」
「そうなる前にこちらから介入するから」
「ああ、なるほど」
「少なくともあと千年は無理かな。彼等の星から戦争が無くなるまで、それくらいかかりそうだから」
「私は結構好きなんだけどな、彼等のこと」
〝ヒト〟には見えないその小さな宇宙船は、地球をぐるりと一周するとやがてゆっくりと離れていった。
END
「星」
3/11/2025, 3:14:08 PM