止まない雷雨の夜はまだ明けない。
窓越しに外を見やる。
本当は仮眠を取らなければいけないのに、なぜかいつまで経っても眠気がやって来ない。
寝台で静かに寝息を立てて眠る白金色の髪の娘は、どんな夢を視ているのだろう。
窓の外に見える、庭の芝生で事切れている女のアンデッドは、
きっと彼女の母親だったに違いない。
雷に打たれて終わりを迎えたのか、
彼女に託した銃が終わらせたのか。
それは彼女の本望だったのか。
「愛されていたんだな、きみは」
とごちて、雨に濡れて少し冷えた白い頬を撫ぜた。
『神のご加護を』と書かれた血文字。
玄関の廊下に飾られた家族写真。
両親を葬らなければならなかったこの夜はあまりに過酷すぎただろう。
せめて目が覚めるまで、彼女の悪い夢を食べる獏になる。
8/4/2024, 12:50:28 AM