二十歳、
二十歳だ、
やっと二十歳になったーーー!
20歳になった今日この日。
私は開放感にバンザイした。
だって、お酒も飲めるようになるし、周りの目が、大人って扱いをしてくれる。
ずっと大人になりたいって思ってたから、すっごく嬉しい!
私が大人になった実感に浸ってると、隣の家に住む幼馴染がやって来た。
「よお、今日で20歳だな、おめでと」
そう言って、ビールを差し出す。
「えっ?いきなりお酒?」
私がびっくりして言うと、
「飲みたがってたじゃん。記念に飲んでみたら?」
という。
「う、うん・・・」
飲んでみたかったのは本当。大人の象徴的な飲み物な気がしてて。
「の、飲むよ?!」
「確認しなくていいよ」
吹き出す幼馴染を一睨みして、ゴクッと一気に飲む。
「うっ何これ?!にっがっ、まずい〜〜!」
私の絶叫が辺りに響く。
「ちょっと、うるさいって」
慌てて口を塞ぐ幼馴染。
「だって・・・苦いだけなんだもん」
涙目で見上げると、幼馴染爆笑。
「まー、まだお前はお子様ってことだよ」
「なにをー?同い年のくせにっ」
叩くマネをする。
というか・・・。
「二十歳になったら大人になれるって思ってたけど、自動的に大人になれるわけじゃないんだねぇ」
私はため息をついてビール缶を眺める。
「そりゃそーだろ。1日で、いきなり子供が大人になれるわけないだろ」
からかうような声に再び睨む私・・・。
でも・・・。
「そーだね。焦らず、少しずつ、大人になっていけばいいよね?」
急がなくてもきっと経験を積み重ねていればいつの間にか大人になっているんだ。
「それより、今日誕生日なんだから、どっか連れてきなさいよ」
私は思い出したように幼馴染に要求する。
確か、幼馴染の誕生日には、私のおごりで食事に連れてったんだよね?
「はいはい。そー言われると思って、映画のチケット買ってきたから、すぐ用意しろよ」
ヒラヒラとチケットを取り出し揺らす幼馴染。
「やった、すぐ用意してくるね!!」
私は急いで家に入ると、階段を駆け上がる。
・・・途中で足を滑らしこける。
「あいたたたぁ・・・」
大人になるのはまだまだ先かもな、と思った20の誕生日だった。
1/10/2024, 11:28:41 AM