白糸馨月

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お題『未来の記憶』

 小学生の頃、未来の出来事をふざけてノートに書いたことがあった。
 その頃は本当に起こるなんて思わなかったんだ。
 あれから成長して、一応いい大学出て、大手企業に就職したけどそこがまぁブラック企業で、それで地元に逃げ帰って、今、実家のコンビニの店長として働いている。
 あの頃は二十世紀少年にハマってたけど、まさかその主人公と似たような末路を行くとは思わなかった。
 いや、今はそこまでだったら良かったんだ。
 空が急に暗くなっているのが宇宙人の秘密基地で、UFOがいくつも散らばっては人間を攻撃している。
 たしかノートにそんなことを書いた気がする。
 俺は恐ろしくなって実家に戻って、わめく母さんをなだめながらその場をやり過ごすことにした。

 と、ここまで思い出した。
 自分の中に急に流れ込んできた記憶は、未来のものだった。
 こんなのはいやだ! 書き換えないと。
 僕はタイムカプセルに埋めたノートを取り出すと、悪い記憶が書かれているところを破り捨て、新しく書き換える。
 そう、何も起こらず、友だち全員が幸せになるハッピーエンドの話だ。

2/13/2025, 3:41:10 AM