この秘密は、墓場までもっていこう。
二人だけの秘密だよ。
そう言われて早20年、もちろん秘密はもらしていない。
「ママ~、行ってくるよー」
「はーい、気をつけていってらっしゃーい」
私は今年大学生になった愛娘を見送る。
私の愛娘であるが、旦那とはきっと血は繋がっていない。
怖くて検査こそしていないが、旦那とその時期そういうことをしていないから、きっと違う。
馬鹿な旦那は計算とかも分からず、疑わず、自分の子として育てていた。
もちろん、娘もわかっていない。自分の本当の父親を。
「あ、ママ、お隣の早見(ハヤミ)さんが呼んでるよー、じゃあね!」
娘が扉を再び開けて、それだけ告げて大学へと向かっていった。
早見さんは、私が結婚してここに引っ越してきて、お隣さんの気の効くおじさん。
水道が壊れた時に直してくれて、粗大ごみの処分の手伝いもしてくれて、夫婦間のあれこれも相談できた……
二人だけの秘密だよ。
私は早見さんの元へと向かった。
【二人だけの。】
7/15/2025, 10:13:44 AM