丘の上で貴方は立っている。
喧騒と隔たれた、展望できる世界の上に立っている。
回る暗闇には星屑が、導として眠らず見下ろしている。
見よ、眠りに満ちてなおも光を失わない世界を。
我々が住まう、火と雷をものにしたこの世界を。
黎明から幾星霜、その成り果てた頭打ちの現よ。
されど人に終わりはない。歩みを止めることを知らない。
たとえ、天から火を盗んだ罪を着せられようと、
その先には新たな力が火花のように作られるのだから。
見よ、夜の帳に火がついた。
長い陰りを曙が染めてゆく。
翔ける小鳥が始まりを囀る。
我々に終わりはない。歩みを止めることはない。
たとえ、臓腑を大鷲に啄まれるような苦しみを受けようと、
その陰りを英雄たる者が力強く裂いてくれるのだから。
丘の上の君よ。
昨日までの夢から覚め、
東雲と共に進みたまえ。
【静かな夜明け】
2/7/2025, 7:49:58 AM