わたしは筋萎縮性側索硬化症(ALS)だ。
やたらと転倒するようになり、パーキンソン病かと思い受診したが、診断はALSだった。
手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気で、最期は意識が保たれたまま本当の意味で寝たきりとなってしまう。
恐怖でどうにかなりそうだった。
診断を受けてから一年後。
わたしは生きている。
訪問の医療チーム、ヘルパーさん、そして妻のおかげで生きていた。
気管切開による人工呼吸(TPPV)、声門閉鎖手術を施行し飲み込むことが出来るようになったため、ペースト状だが口から摂取している。
指先も動かなくなったが、かろうじて歯を動かす事が出来る為、口に咥えるスイッチを連動させた意思伝達装置を使用し他者との意思疎通を図る事が出来ており、拙い文章だが執筆活動も行っている。
わたしの周りには毎日たくさんの人が関わってくれている。
時に悲しげな視線を送ってくる支援者もいるが、あなたとわたしの「違い」は何ですか?と心の中で問う。
出来ないことが増える苦しみは勿論多大にある。
妻の気持ちは察するに余りあるし、逆の立場だったら…と毎日考える。
だけれど、わたしは。
この世界の誰よりも、妻の手の温もりを感じられている。
題:一年後
6/24/2024, 7:51:45 PM