君と最後に会ったのは、×月×日の昼休みだった。
オレンジ色の夕焼け空が雲を染めている。
校舎屋上のフェンス際に、彼女はただ静かに立っていた。
「……来てくれたのね、××くん」
「……」
「見て、夕焼けがとても綺麗よ。……最後に見る景色にはぴったりだわ」
そう言った彼女の表情は、一体どんな顔をしていたのだろうか。
「……本当に飛び降りるつもりか」
「…………ええ。もちろん」
「……後悔するぞ」
「しないわよ。……止めないでって、約束したでしょ?」
彼女は、ゆっくりと俺の方を振り向く。
一歩足を後ろに踏み込めば、もう彼女の命はないというのに、その時の俺はなぜか酷く冷静で……。
止めればよかったとか、何か救える方法があったはずだとか、考えるべきことは沢山あったのに。
「……時間はあっという間なんだな」
——気付けば、彼女は俺の前から姿を消していた。
題『君と最後に会った日』
6/26/2024, 12:03:33 PM