「みんな呪われて不幸になっちゃえばいいのに
1人になって孤独を体験すればいいのに」
元々ひとりが好きな人間だと思っていた。
みんなでなにかするよりも1人で作業する方が好きだった。自分のやりたいようにできるし、相手の進捗に合わせて行動したりしなくていい。要するに、気を使わないで居られるのが楽だった
否だと言うことに気付かされたのは高校生の時だった。集団の中で自分のやりたいことができる幸せを身に染みるほど実感した。孤独は恐怖の対象でしかなくて、暁にはとても辛い現実が待ち受けていることを体感した。
もう二度とこんな経験はしたくないと思った。人生の中で1番辛い3年間だった。幸せな記憶も辛い記憶に飲み込まれて思い出そうとしても思い出せない。
「1人になりたがるよね、塞ぎ込んじゃうというか、心配だけどそっとしておくのがいい?」
大学に入学してからの友達たちは疑ってしまうほど優しい人達だった。流石看護職を希望する人達で、人のことをよく見ていた。看護する側ではなく私が看護されていた。1人になりたい時は1人にならせてくれて、でも寂しくないようにグループの中に入れてくれる。本当に暖かくて優しい環境だった。
平穏な日々が続いていた。頑張って高校卒業してよかったと本気で思った。
紫陽花の花が咲いた。
ひとりになった。
どこにいても1人になった。
去年まではどこにいても1人ではないと実感することが出来るのに、友達がいない訳では無い、辛い時寄り添ってくれる子達はいるのにひとりになった。
どうしようもなく辛くなった。
崖から飛び降りたかったけど飛び降りれなかった。
何度も後悔した
てっきり、飛び降りなくて良かったと安堵すると思っていたのに違った。飛び降りておけばよかったと思う毎日だった。
海に面していないから崖なんて無いし、何よりきれいな海に包み込まれて最期を迎えたかった。
ただ都会の喧騒とネオンの光に包み込まれて最期を迎えるのは嫌だった
小説を書いた。
死にたかったから、自殺を繰り返す女の子の話を書いた
いつかこの子のように事故の過ちを後悔したかったから書いた。
結末はどう考えても思いつかなかった。
ひとりになった。
紫陽花の花が咲いている。
今日見かけた子は、青色の紫陽花だった。
成人式の日に身につけた、青色の紫陽花だった。
駅のホームにたって、電車が来るのを待つ。
飛び込んでしまおうと思った
賠償金の支払額がとんでもないから絶対にしては行けない方法だってこともわかってる
運転手さんの一生のトラウマになってしまうこともわかってる
電車をまって、家にある暖かさを求めてる人たちの心を一瞬にして凍えさせてしまうこともわかってる
それでもみんな不幸になってしまえばいいと思った
みんな孤独を味わえばいいと思った
孤独だ、と言ってる人には大事な人がいて、支えてくれる人がいる。誰かの1番になれる。けどどう頑張っても無理だった。
もう無理なんだと思ったから死にたかった。
真っ白な光が目いっぱい拡がって、鞄を置いて
飛び込もうとした瞬間車掌さんと目が合ってしまった
女性の運転手だった。
警笛がなって、足が鉛のように動かなかった。
崖先で声をかけられた時と同じだった。
生きなければ行けないと言うならば、みんな不幸になればいいと思う。
不幸だと嘆いている人はもう一度自分の置かれてる環境を思い出して欲しい
どれだけ暖かさを分けてもらっても寒くて仕方がなくて相手を恨んでしまう自分が憎かった
こんな感情に支配されるくらいなら死んでしまった方がましだと思った。
紫陽花の花がドサッと音を立てて、地面に堕ちた。
6/13/2023, 11:00:31 AM